
SAITO Natsumi
最終更新 2026.8.31
会期:2025年1月10日(金) - 1月22日(水)
時間:11:00-17:30 日・祝休み
場所:Hiroshima Drawing Lab
広島県広島市中区鉄砲町4-5 ブラック画材4階
企画:手嶋勇気(HDL)
ヒロシマ・ドローイング・ラボ(HDL)では、2025年 1 月10日(金)~1月22 日(水)まで、齋藤夏海「Tale,on_the_Table」を開催いたします。
齋藤夏海は、デジタル上のスクエアツールを用いて風景を描きます。半透明な四角形が重なり合うことで生まれる風景は、曖昧さと明瞭さが内包されており、見る人にある種の既視感を与えます。テーブルの上にあるものを見るように景色を見ること、それは齋藤の幼少期から現在に至るまでの記憶や時間、環境に対する現時点での態度の現れであり、現実と自身との間にある距離を探るための思索でもあります。本展では、デジタルペインティング作品を中心に新作と旧作を紹介することで、現在に至るまでの制作の軌跡をご覧いただけます。
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夜に散歩をしている時や慣れない場所を歩いている時、ふと⾜が⽌まり、これ以上先へ進もうと思わなくなる瞬間がある。それは、その時まわりを取り囲んでいる環境、地⾯や空、⽊、建物、⾵、⾳、匂いなどが持っているかたちに、⾃⾝の⾝体がうまく接続できていない状況だと考えている。⼟地そのものが壮⼤な⽳あきのパズルのようなものだとすれば、形の合わないパズルのピースは⽔に流されるようにパズルの上をながされていく。いくつかのピースは重なり合ったり、⾓が取れたりしながら、幸か不幸か変な形で留まり続けている。
私は、等間隔に並んでいる街路樹や公園の遊具などに、そのような状態を⾒つける。
その場⾯を、⾜が⽌まった位置から描くことで測ってみようと思った。
明確な数値を⽬指すのではなく、もっと⾃分⾃⾝の感覚によった⼼理的な測定である。
デジタル機器が、測定するための装置として機能する。
デジタルで描くことの特性として⾃⾝の動きがダイレクトに反映されない点があり、そこに⼼地よさを感じる(鉛筆や絵の具などは⾃⾝の動きに直接反映する)。
そして、液晶を挟んだ、いわば別の空間の中で測定を⾏う。⾃⾝が作成した壁に囲まれた空間、そこでは外側(他者)からは観測されることがない。
私は、この液晶を挟んだデジタル空間が⾃分にとってのアトリエなのかもしれないと思った。 最後に描いたパズルを出⼒して、 ⾃分と同じ次元に引き出すことで、 ピースと⾃分の間にはじめて距離が⽣まれる。
ふとした時、⾜が⽌まって進めなくなったのは、もしかしたら、⾃分にとって⼼地よい距離を⾒つけていたのかもしれないし、きっとパズルに⼲渉しすぎないでいられる距離を無意識のうちに感じとっていたのだろう。年⽉とともに⾃分を取り巻く環境は変化していくが、⾃⾝が⾝を置いている環境との間に距離を測ったピースを置いていくことで、迷⼦になった時に⼀旦戻って考えるための道しるべとなるかもしれない。
家に帰るための道しるべとして⽯を置いていった物語があるように。






photo : Lorenz Alois Huter